アラヤ式 映画紹介_Magazine POST

観た映画を気まぐれに紹介していくページです。

【Anti】Self-Introduction

 正直ぼくは“自己紹介"という儀礼があまり好きではありません。「ぼくはAであり、Bであり、Cです」といった具合に説明すると、そこに有るのは列挙された三つの事実だけです。

 たった三要素で、自分という人間が粗方説明できてしまうというのは、とても腹立たしいことです。

 “ぼくらは財布の中身でも、ファッションでもない”

 ってやつですね。

 メンドー臭いやり方ということは重々承知しているのですが、ぼくは外堀を埋める形式で自分という人間を説明したいと思います。「~でない」調で話すということです。

 まずご説明に際して、「デジタルネイティブ」と呼ばれる人種について触れたいと思います。彼らは、1980年代以降に産まれた「インターネットに強い世代」です。産まれた時から身の回りにネット環境があって、口の利き方や手足の動かし方を学ぶ傍らで、通信機器の扱いを覚えた世代として認知されています。

 インターネットに強い世代

 なんだか、酷く乱暴で滑稽な言葉です。「彼ら」なんて言い方をしましたが、実はぼくも1990年代の生まれなので、当然のようにデジタルネイティブに分類されます。しかし生憎と、ぼくは自身のアイデンティティとして、この「デジタルネイティブ」なる属性を受け入れることが出来ません。

 ぼくはつい最近まで、ワードをPDFに変換する方法すら知りませんでしたし、流行のリモートツールだってさして詳しくありません。初等教育で導入されているプログラミングの授業などは、ぼくにとって卒倒ものです。「ぼくが一番、ネットをうまく使えるんだ」なんて、家族の間でも言えません。むしろ二回り三回り年上の父が、ぼくにこの手のレクチャーをする有り様です。

 父の方がよっぽど手足のように、母語のように、通信技術を扱えています。デジタル上で、父がネイティブスピーカー然と振る舞っているのに対し、ぼくが出来ていることはピジン言語みたいなものです。カタコトです。

 ぼくはデジタルネイティブでなく、理系でなく、女性でありません。また、紅茶派でなく、「きのこの山原理主義者」でなく、電子書籍愛好家でありません。

 取りまとめれば、「ぼくは機械音痴であり、偏屈であり、徒労と分かってても時間を費やす変な生き物である」ということになるかも知れませんが、ぼくは敢えて先述のやり方を採ります。アンチ自己紹介を謳っておいて、結局は自己紹介の文脈に回収されてしまっている訳ですが、そこも気にしません。なぜなら、ぼくにとっての執筆活動は職務でなく、義務でなく、理性的でないからです。

 これから先も大いに捻くれますが、どうかご容赦ください。
 宜しくお願い致します。